クオリティの高い、地域のフリーペーパー。
益子の"ミチカケ"と、秋田の"のんびり"。
益子の"ミチカケ"と、秋田の"のんびり"。
秋田にはうまい飯とうまい酒があります。その豊かさが、秋田の実直なものづくりを支えてきました。そして同時に、秋田の人々の中には大らかで力強い「のんびり」精神が育まれました。
そんなのんびり秋田は、右肩上がりな経済成長というゴールなきゴールに向かい懸命に走ってきたニッポンにとって、まるでビリを走るランナーのように映ってきたかもしれません。
けれど世の中は変わりました。
順位など気にせずのんびり歩いてきたことが、まさに「ノンびり」となる時代がやってきました。日本人の多くは今、うまい飯が食べられてうまい酒が飲めるという当たり前の豊かさについて考え直しています。しかし秋田では昔も今も、ずっとそれが暮らしの真ん中にありました。
ビリだ一番だ。上だ下だ。と相対的な価値にまどわされることなく自分のまちを誇りに思い、他者のまちも認め合う。そんなニッポンの新しい"ふつう"を秋田から提案してみようと思います。
「のんびり 14号」より
数千万人もの人々を抱える広大な平野が終わり北へ連なる山々が始まる、ふたつのものが出会う土地。
平野と森。北の木々と南の緑。土と炎。古きものと新しきもの。足もとの土とともに農業と窯業をつないできた人、土地の木風にひかれ移り住む人。大地にしっかりと下す根っこがあり、風にそよぐ枝葉が活きる。
豊かな風土と、ものづくりの手が出会い生み出される健やかな暮らし。
北関東の小さな町の、小さな暮らし。その情景を、この町で暮らす私たちが描き伝えていきます。新しい明日への手がかりのひとつとして。
「ミチカケ 第五号」 より